ニガツム

log [ コラム ] — s_o @ 04. 2月, 2005

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微妙な静謐をたたえる朝の地下鉄ホーム。
8つ分かれた先っちょに 赤・黄の豆電球が点滅する帽子をかぶり
帽子とコーディネイトされたファンシーなつなぎを着たおばちゃんが、
同僚(仕事できそうな普通のOL)にすごい剣幕でまくしたてていた。

見たあかんものを見たんや、と気をとりなおして電車に乗るも
前に座った男は、全身まっ白けで目のまわりだけ銀色だった。

そぞろにこちらをチラチラ見るなり
なんらかのリアクションを求められてるのなら、
『朝っぱらからフルスロットル』に敬意のひとつや 鼻すかしな引導のひとつも渡せる。

未来パンダ、素(す) 。

むしろ なにか明日を憂うような
アンニュイでどんよりした佇まい。

ナナメ後ろではあいかわらず、
頭の先っちょが8つに分かれてチカチカしてるおばちゃんが
変わらぬテンションで同僚の仕事態度を責める。

なんだかわからない感情。
うしろめたさ?
知らずに悪い事してたんなら あやまるから、
無言で世界から除籍するのはやめてください神様。

目の前の土星人に、

『おまえ突っ込まれたくないなら突っ込まれる可能性を十二分に秘めたうえに
あたかもそれに気づかぬサマであるいはそんなメンタリティで生きるみたいなの
統制された法治社会として厳然と機能してる表舞台でなく
宗教の勧誘みたくもっとひっそりやれよややこしいから』

とか言いたかったけど、そもそも頭んとこの「突っ込み」が訳せないし
度胸も器量も甲斐性も優しさも適度に在庫切れで
ただ目のやり場と「その場に自分がいる」っていう在り方に困った。

無論そんな日に、火に注がれるのは油でなくガソリンだった。

向かいの青いアフロ(高木ブーよりふたまわりでかいやつ)のおっさんが、

『きみ、日本から来たの?』

と”もじもじしながら”言った。
アフロがでかくて、青いのに、ゲイだった。
でかくて、青いから?
まあいいや。

この3年、ドイツの暦に積極的に触れた事がない。
いっつも知らないうちに時計が1時間ずれてたり(夏時間)、
突然あふれるクリスマスマーケットに不意に行く手を塞がれたり、
聞いてない祝日で店が閉まってたり終電がなくなってたりする。

2月。

カーニバル。

毎年だ。この時期、おんなじ気持ちになる。

町に出ると、変人(変人言うたら変人に失礼な変凡人)の狂宴。

魔女と、バイキングと、セサミストリートと、でかいアフロと、病人、ゾンビが溢れている。

こうなると普通のヒトも変に見えたり、
もとから変なヒトも『それ用』に見えたり、
たとえばちょっとセンスが悪い人に、
「あら奥さんもカーニバル?」的な失言をして
今後の社会生活に影響を及ぼしたり、
普通の神父に「あんた今日ロザリオでかすぎ!しかも木ーて。ゲラゲラ。」言うて
バチカンに訴えられたり、
まいったなこれは、といらぬ心配をする。

化粧が濃いおばちゃんがいまいちインパクトにかけたり、
意外と寛容な気持ちになれたりもする。

ビールにまみれ、大声で笑う金星人たちも
売られたケンカは買ったけどそれは色黒な人間差別もはいってた木星ハク人も
サッカーフラッグにくるまってゴロゴロ幼児回帰にいそしむ水星人も
きっと2月を生きるのに必死なんだろう。

太陽が出ないから、CDを頭の巻き毛にからめてピカピカしてたのだ。
おまえはパタパタママか。

昼の打ち合わせ、晩のスタジオのあと
夜中に帰宅すると、サヴトレ関連外人から腹立つメール。
カズ氏に連絡すると見解豪快に一致。決別の長文メール返信。
カズ氏に転送したらexcellent!!!!!!!!!!!!!!!というアメリカ人みたいなメールが返ってくる。

外人なんかに負けられない。外人やない。内人。

所信表明に明日、青いアフロ(小さめ)手に入れよう。
頭蓋骨の内側と周辺だけカーニバル。
果てが見当もつかない2月に備えて。

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