a superficial explanation

log [ コラム ] — s_o @ 16. 10月, 2006

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そうして彼女は刻まれた。


こそぎ落とされた上腕と顎を見て、
彼女は通り一遍の愛想笑いみたいな絶望に打ちひしがれた。


『ぅぁーこれめっちゃもと戻らへんやん、ゆうて今思たやろ自分。
なんやろ。5分前何してたやろ。なんでこんなことになったんやろ。て。
なあ。
戻りたい?
これ戻せるくらいの希望て、いやそもそもそれ的なもんを抱く抱かない、ゆうことすら考えたことあれへん?』


男は悪意のない錆びついた目で、明るくハキハキと大きな声でそう言った。
あんまり声がデカくて滑舌がよかったので、痛みで閉じていた目を開けると
女の体は元通りになっていた。
別にそんなもん5分前には夢でもなんでもなかったが、
概ね何やら叶えてくれた感が満載であったので 女は男を愛した。
だからいつまでも愛していた。
二人はいつも互いを愛したし、慈しんでいた。
こそぎ落とされた上腕含む全ては、依然としてそこにあったけれど
それにさっきからそこいら中でなんか垂れてきていて とてもきたないし、臭うのだけれど
全てが『現在』を揺るがす動機に欠けすぎた。
平たく、伝わらなく言えば、まま関係あれへんのだった。


とても待ち遠しかったある日
空がとても遠かった。
生きとし生けるものを中途半端に孤独にしたその夕焼けが
とても美しかった。


愛してる、と女が呟くと
男は そう、と微笑んだ。


二人の影は、長く長く伸びて
皆がかえってきた。







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