ネアン

log [ コラム ] — s_o @ 20. 3月, 2004

手垢のついた物言いだけど、
血液型の話をされるのがものすごく苦手だ。

『あなた、、、、型?』

と聞かれたら、必ず

「いえ、、、、型です。」

って、違うことを答えるようにしてる。

車にひかれた時なんかに、なまじ知り合いがいると、
命を落としかねない。

 
 
昔、生物の授業で、突然教師がいった。

『血液型占い、、、なんやあれ。』

彼女は、それからオモムロに藁半紙を配りはじめた。

なんでも、血液型によって人をカテゴライズする
向こう見ずで平和な世界を目の前で粉々にしようという主旨らしい。

その手段について詳しいことは忘れたけど、
生徒から集めたアンケートと
生徒による挙手、
それに学会のデータによる論破の仕方は
なんであの時あんなに「ほほう」となったのか不思議なぐらい、
すこぶるいい加減なものだった。

帰納法と、弁証法のあかんとこだけを
もっかい演繹した感じ。
 
 
今になって思えば、大好きだった彼氏と
血液型のことで喧嘩しただけかも知れなかった。
 
 
『岡本君、B型の人にどんなイメージをもってる?』

「、、、ジャイアン?」
 
 
我が意をえたり、という顔つきで彼女は言った。
 
 
「ジャイアンはA型よ。」
 
 
平たく言えば、
とにかくそういう感じの授業だった。

彼女の顔は、ネアンデルタール人そっくりで、
それは進化した人類へのアンチテーゼみたいだった。

皮肉で悲しい、アンセムだった。

思い当たったらごめんなさい。
思い当たるか、そんなん。

その教師のおかげだかどうだかわからないけど、
とにかく立派な血液型占い蔑視型人間になった。

『、、型だよね? そーだと思った!』

違う血液型を答えて、そのリアクションをとられると
不意にネアンデルタール教師に報告したくなる。

「かかったわね、彼は、、、型よ」

と、また違う血液型を言って、
帰納法の裾野である新たな証拠を採集しようと努めるに違いない。
 
 
、、血液型うんぬん以前に、おまえに人の血は流れているのか。
 
 
 
名前をつけ、解釈し、たくさんの意味を与えて
人は安心したがる。

完全な理解、というものがもしこの世に存在するなら、
それはきっと、ますます人を孤独に追い込むだろう。
 
 
即興詩人マイアミさんの、ウタより。

  『どうやらボクはアヤシまれてしまった。
   そして
   アヤシマレていることをカクされてしまった。』
 
 
頼むから僕に、輸血をしないでください。

3ビョウ

log [ コラム ] — s_o @ 17. 3月, 2004

町で、
どんな話でもトニカク短くまとめろ
って書いてある本を見つけた。

ボリュームのあるハードカバーだった。

まとめてくれ。

南極で基地に留まる隊員の妻が
夫に送った電報のことが、とりあげられてた。

3文字。

「あなた」

言葉が本当に意味をなすのって、
言葉自身がその役目を
奪われた瞬間かもしれない。

リヒト

log [ コラム ] — s_o @ 15. 3月, 2004

20040414195736.jpg
 
秋にエキシビジョンを企画してる、Lichtturm のパーティへ。

カズさんが用事で来られなかったので、
コラボレートするミホコさんと2人で行く。

パーティやからて、朝からメシ抜いて行ったのに
Salzstangen(シオついたポッキーみたいなやつ)やリンゴしかなくて、
オーボエと、朗読というパフォーマンスが始まった時には、
腹へりすぎて幽体離脱しそうやった。

オーボエより耳鳴りのほうが音でかかった。

オーナーはバックトゥーザフューチャーのドクそっくり。

写真は、左から
10月の企画担当のクリスティーンさん、ミホコさん、ジブン

フィガロ

log [ コラム ] — s_o @ 12. 3月, 2004

s_o
 
 
かみをきる。

まちで突然 ちっちゃい子に

「おばちゃん?おじちゃん?」

て訊ねられて
“どっちでもないわガキ” って顔したら

「あのさ、女の子じゃないのになんで髪の毛ながいの?」

理由が思いつかなくて、
かみをきった。

きった後に、
あれ?女の子って髪長いっけ? 思ったけど
少年は、真剣な顔でそう言ったので
そこに真実以外なんにもない気がした。

どちらかに、なにかが足りない。
どちらにも、あきらかに足りない。
 
 
「お金ないんだよ」

っつったら、

『んじゃ、安くするからヤリタイようにやらせてよ。』

って言われて、
トコヤは口笛ふきながら片手でバッサバッサ切っていった。
目が覚めるくらい適当だった。

しかも終わったとき、げらげら笑ってた。
おおできたできた、わははは、ゆうて。

めっちゃ安かった。毎回言お。
 
 
Tanzhouse のダグマーさんと会ったとき、
「Hallo」つったら、ニコニコしながら
『こいつ誰やったっけ?』
って探ってた。

世渡る術の混ざるニコニコ。

さっきの少年に見せたら、
「なんでおもしろくないのに笑うの?」
てなるんやろか。
 
 
そう言えば幼い従兄弟が、
あら、かわいーわねーと話しかけてきた近所のおばちゃんに、

「おばちゃん、ハナクソついてる」

て言った。
 
 
社会不適応生物。

ものすごくスタイリッシュな武器つかって、
宇宙開拓とか平気でできそう。

適応なんかずっとしなきゃいいのに。

ひとごとや。

カミサ

log [ コラム ] — s_o @ 10. 3月, 2004

小学校一年生の女の子の詩を読んだ。
 
 
 かみさま
 やました みちこ
 
 かみさまはうれしいことも
 かなしいこともみなみています
 このよのなか
 みんないいひとばっかりやったら
 かみさまもあきてくるんとちがうかな
 かみさまが
 かしこいひともあほなひともつくるのは
 たいくつするからです
 
 
 鹿島和夫・灰谷健次郎『一年一組せんせいあのね』理論社 1986
 
 
泣いてしまった。

どこにやねん。

でも、不意に泣いてしまった。

もうすぐ、三十路、、、。

たとえば、かみさまってよばれる種類のものを
かみさまって呼ぶのは、ちょっとおかしいような気がする。

ただ、やましたみちこさんの
ぼんやり宇宙ナガめてるかみさま、
ゆるくてもっそええ塩梅。

人間の体で、もっともストレスを溜める器官は
頭皮でも胃でもなく、涙腺(るいせん)らしい。

神経性なみだ炎?

ハカニ

log [ コラム ] — s_o @ 09. 3月, 2004

 
去年の、夏。

27歳のドイツ人の女の子とその30歳の彼氏と、
3人でお墓を歩いた。

お墓、っていっても日本のそれみたく
日陰にひっそりって感じではなくて
こっちのは全員の墓石がオブジェみたいで
ちょっとしたテーマパークみたい。
不謹慎なことを言ってあれだけど。

こっちは土葬が多く、
亡骸は灰ではなく土の下にある。

上に植えられた眩しい原色の花々は、
人間の最後の仕事みたく咲き乱れて。

女の子が突然、「ちょっと」と言って、
日陰の薮のほうに入っていこうとする。

「なに?どしたの?」

「いや、ちょっと、おしっこ」

ちょっとテレて、女の子はそそくさ行ってしまった。
 
 
目のやりどこに困って、あっちを向く。
 
 
死体の上のアザヤカな花の色、目を刺す。
 
 
落ちたモノを拾って、
パクっと食べて笑う女の子が好きだったけど、
今度からは
墓で立ち(?)ションする女の子にしよう。
 
 
すてきやな、と思った。
 
 
そんなことを素敵やな、て思う了見の狭い自分自身を
素敵やないな、思った。

ツバサ

log [ コラム ] — s_o @ 07. 3月, 2004

カヘでコーヒー飲んでると、
日本人の親子づれが入ってきた。

聞くでもなく会話がミミに入ってくる。
母国語って、やっぱはやい。
すぐにアタマで意味になる。

便利は便利だけど、まあまあ面倒くさい。

小学生くらいの娘が父親に熱弁をふるう。

『たっきーあんどつばさ』がいかに
私の心をとらえてはなさないか。

「きのうなんてさ、
アルバム聴いたら夜ねむれなくなったんだから。」

たっきーあんどつばさって、なんやろ思いながら、
ねむれなくなる音楽について考えた。

そんな暴力、いつかふるってみたい。

戦後生まれの自分も、その女の子もきっと、
ウゾウムゾウに抑圧された変な無暴力ワールドの中で
「痛いの、なんとなくきらい」な戦後モンスターだ。

うそをつかないって素晴らしいけど、
うそつくってまた素敵なことだ。

暴力もおなじ。

それはええけど、眠れなくなる音楽ってなんや。
たっきーあんどつばさ、おそるべし。

ハンス・ライヒェルとか、
ハリー・パーチみたいな感じ?

娘、おそるべし。

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