ブフタ

log [ コラム ] — s_o @ 26. 6月, 2004

『ケ・セラッッッッッセラ〜〜〜〜』

隣のおっさんの爆音ヘキが、また突然発症。

分厚い壁の存在を疑うくらい、お腹にくる低音。
1小節に4度打つ固い衝撃が、花火みたいに夏の到来を祝う。

てか、年中や。おっさん。

24小節に1回くらい、もう一つ隣に住む男が壁を蹴る。
フロアは、男達の無言の衝突を繰り返しながら、怒濤の人間関係セッション。
煙草買いに行くついでに文句言おうとドアに手をかけて、ふと

「なんか、やなことあったんかな」

日曜日にはいっつも、サッカーで泥まみれになって帰ってくるおっさんの姿を思い浮かべた。
ビートに合わせて つまさき打ち、クツにかかとを入れる。

昼が長くなり、開け放った窓から吹き込む風にはすっかり色がなくなった。
 
 
『うっッっっっひょ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜』

唐突にとどろく、おっさんのおたけび。
はかばかしくばかばかしい気分になって、
文句も言わずに煙草を買いに行ったら、財布を忘れた。

外出を決心したカロリーが勿体無いので、ライン川まで散歩。

ドンッッ

お腹にくる低音。
どこかで本物の花火があがった。
なにかが本物のふりをして、静かに爆発したのかもしれなかった。
したたかな低音に、したうち。

どこかとおくの方で、酔っ払いがウタをうたっていた。

すごくいいうただった。

log [ コラム ] — s_o @ 17. 6月, 2004

アーティストLee Tzu-hsun に提供する音、やっと完成。

7月半ばくらいから、ニューヨークのギャラリーで公開。
(詳細は後日アップします。)

先週から、体にセルフ時差が発生するくらい
地下のアトリエに篭っていたので、
本人の最終チェックの今日はもう、
自分じゃない誰かが音について説明してる感じだった。

ドイツ語に、まんべんなく英語が混ざってた。
くまなく、なに言ってるかわからんかった。

Tzu-hsun のビジョンと摺り合わせた結果、
最後の最後で、曲に極端な処理をすることになって、
やや白目むき気味で、仕上げ。

本人を、2時間待たせる。

難産のすえ、鮮血安産。

すくすく育って。後生だから。

20分の音のうち、10分前後が抽出されて
DVD夏頃リリース予定。

此岸

log [ コラム ] — s_o @ 09. 6月, 2004

0030park.JPG

綿毛みたいなのが、街中を飛び交っている。
井上靖 『白ばんば』ばり。

ドイツではコレ、「夏の雪」っていうらしい。

窓あけてると、気づいたら部屋ん中が ウソくさい天国みたくなる。

綿毛が宙にタユタッていると、時間の流れが歪む。

うでを突き出しつかもうとすると、ひょるりと風にまう。

ひょるりと時間が 笑う。

不意に苛立ち 最初の雨粒をうけた水面みたく
イロない影、揺蕩った。

ディーる

log [ コラム ] — s_o @ 08. 6月, 2004

0009strasse.jpg
 
アトリエへの道すがら、いつも会う悪ガキグループ。悪いんかどうか知らんけど。
クリみたいな頭したのと、デブと、ほんのり動きのはやいデブ。

トリオとしては ほどよくバランス悪い。

捨てられていたPCとステレオセットに目をつけて、
アトリエに荷物を置いて戻ってみると、
いびつな3人組が試行錯誤しながら それらを運んでいた。

ちっ、やられた、思て舌打ちしたものの、彼らはあまりにも要領が悪く、
見てられないので、彼らのアジトまで運ぶの手伝ってやる。

玄関の前まで、全て運び終わると、クリ頭が言った。

『ねえ』

ん?

『これ、5ユーロで買わないか? 負けとくよ。』

、、、、てめえ。

『ちゃんと動くぜ。コンセントんとこ買えばさ。』

、、、、知らんやろ、おまえそんなこと。

『オレタチだって、惜しいのに、おまえに譲るんだ』

どうやら、玄関から部屋まで持ってあがるのが、めんどくさくなったらしい。
デブたちもしきりに、「いかにこのPCが人生をバラ色にするか」を力説。
クリ頭は、腕を組み しきりにうなづきながら、満足げに言い放つ。

『3ユーロでもいいぜ。』

目を輝かせる。
3人の鼻の穴がふくらむ。
 
 
「いらん。」
 
 
それ以来、会うたびに 『まだあるぜ』 って言われる。
てかお前、置きっぱなしやないか、そこに。
 
 
犬が 道ばたのPCの匂いを嗅いで、くしゃみをする。
3人は、にべもなくサッカーに執心。
 
 

ヤパーに

log [ コラム ] — s_o @ 06. 6月, 2004

年に一度の日本デー。

この街はヨーロッパ随一の日本企業集中都市なので、
優良税源な 黄色いサルたちへの、ご褒美の一日。

主格と目的格が常にメビウスの輪のまま、テレコな媚び媚び。

裏の気まずい事情は抜きにしても
“異文化交流” という考え方、そもそも気色悪い。

日本にいた時、近所の商店街でやってた『インドフェア』に濫立した
カレー屋台のカリーは、寝込むほど マズかった。
でも 『おぅぃしぃよぅ』 とターバンを巻いた男に歯を見せて笑われて、
恐くて全部食った。3日寝込んだ。
 
 
今日のみ上映される日本映画の2本立てが観たかったので、街へ。
サクッとチケット売り切れてて、そのままカズさん、maraと合流する。

ドイツ人が叩く和太鼓を、ソーセージ食いながら眺める。

盆ダンス上演。

ライン川と、曇った空と、ビールまみれのサッカーファンと、
『つっきがぁ〜〜ん 出ッたデッたぁ〜〜ん つっきがぁ〜ん でたぁ〜ん ヨイヨイ』
は、恐ろしく食い合わせが悪くて、やにわに全てを投げ出したくなる。

向こう岸であがった、花火をぼんやり眺める。
なんかキレのない花火。
ようやく盛り上がってきたと思ったら、突然終わる。

夜空に残った火の粉を、ずっと眺めていた。
よう見たら、星だった。

ハチマキを巻き和太鼓に合わせてバチを叩く真似してた
異常にテンションの高い少女二人(前後になったフォーメーションが ことのほかグダグダ)、
ワリバシで、カンフーとごっちゃになったチャンバラを繰り広げていた少年二人。
あと、緑色のチャックがついたビニール袋に、ビールの王冠を集めていた男の子。

来年は、この5人を中心にプランを練ってみてほしい。
日本デー。

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