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log [ コラム ] — s_o @ 24. 11月, 2004

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photo : © 2005 YooNeun all rights reserved.

ベルギー新聞のインタヴュー。

『観てる人は、何が楽しくてそれを観に来るのかわからない』 って言った音楽家が日本にいた。

その音楽家のライブは本当におもしろくなかった。
ライブを誰かに褒められるたびに、その台詞を思い出して胸が重くなる。

この人達は何を見てそんなに喜んでいるのだ。
解決できない問題は
それについて思いを巡らせ続けるしかないし、
おとしどころない思いは
嘲笑って、後生大切に抱え続けるしかない。

行き当たりばったりで跳んだあと挫いた足は
我でなんとかするしかない。
びっこをひいたまま思い出に耽るわけにはいかない。

—-

ところで英語のインタヴュ−は質問の意図がわかればわかるほど
あきらめなければならない情報量が多くなる。

『英国では、物乞いですら英語を話す』

古臭い冗談を思い出した。

きっとサンコンさんとかアグネスチャンとか、いっぱい泣いたんだろう。
省略された人格は、まぎれもない自分自身として機能する。
ギルバートじゃないよゥ、デリカットだァょ。

熱っぽく語るラファエルの言動に、抵抗をおぼえつつも
伝える術を探っているうちにインタヴューが終わる。

インタヴューはフランス語かフレイミッシュで掲載されるので
原稿の確認もなにもあったもんじゃない。

満面の虫歯スマイルにVサインくらいの写真で辻褄を合わせないとまずい。

/ Hasselt : BELGIE-Kunstencentrum, Belgium

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log [ コラム ] — s_o @ 23. 11月, 2004

そのスクワッドには、でかいトンボのオブジェクトがへばりついていた。

破れたままの窓には ” ANARCHIST “ のテキストも眩しいアジビラが貼ってあった。

ブザーを押すと、歯並びが悪くて人の良さそうなモヒカンと犬が出てくる。

6つに連なったブランケットなしのベッドの前で、
ホームレスが2人 『えへへ』 て感じでカセットテープを片していた。
オーガナイザーのサラが申し訳なさそうに

『私も知らなかったの。ヴィンの紹介なんだけど。』

と親戚のおばちゃんみたいな笑みを浮かべて、
結局今夜はここに泊まる事になった。

言い訳のように連れてこられた高級レストランで
ザクロとホヲヅキののったバースデーケーキみたいなサラダを食う。

んまい。

いやいや。

帰りに寄ったカフェで、
ブリュッセルでおまえらのライブを見た、というおっさんに話しかけられる。

ブラボーぴちがい日本人、みたいなことを言われて
控えめに図に乗る。

アルバムも出していないのにやにわにライブをしているので、
ブリュッセルのレコード屋もサヴトレのことを知っていた。

思い出してもう一度調子に乗る。

複雑な匂いのするスクワッドに帰ったのは夜中だったので
親切でジェントルな2人のホームレスのたてた2本のロウソクが、
薄暗い部屋の燈台だった。

ネズミの糞は払ったが、ネズミの小便がどうにも冷たいので
5時くらいに起きて、ひとり近くの安ホテルでコーヒーを飲んでいた。
『アーティスト イン トラッシュ だな』
と息巻き不満を爆発させていたカズさんは、
寝息を立てて誰よりもぐっすり眠っていた。

冷えが鳴りやまないので
2杯目のコーヒーを注文しようとしたとき、
自分の体が自分のものではなくなった気がしてこわくなる。

“NO GOD , NO BOSS _ AGAINST ALL AUTHORIZATION”

“NO VOTE , ORGANIZE!”

冷たい朝にぼんやり眺めたスクワッドの壁では、
色の変わったポスターがフレイミッシュで訴えていた。

便所で顔を洗うと、鏡の中ではやっぱり
見た事のないニンゲンがこちらを窺っている。

22.nov.2004
/ Hasselt , Belgium

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log [ コラム ] — s_o @ 17. 11月, 2004

錆びた口から漏れだすのは
味わった事のない甘い液体だった。

それは自発的に意思なく垂れ流れつづけた。

いつまでたっても開かない瞼(まぶた)をまさぐると、
口だと思っていたそれは久しぶりに名前を与えられた目だった。

ぬるい液体は流れるのきから過去になって
その場にある全てを鼻で笑いつづけた。

知らない街で缶を蹴飛ばすのは危険で
それは生まれたての仔鹿が何時間か以内に立ち上がれない恐怖と
とてもよく似ている。

date_unidentified. 2004
/ brussels , belgium

belllbelblellbel _ Girona

log [ コラム ] — s_o @ 14. 11月, 2004

またオリオン座だ

欲しいものはいつでも手に入る

手に入ることが羨ましかったのは
いつもそれが茫漠とした孤独を孕んでいたからだ

スペインのくせに鼻が凍る澄んだ夜に、
タクシーを探して手帖を空に掲げると

またオリオン座だ
 
 
オリオン座なんか消えてなくなればいい

オリオン座のない世界を夢想して 嫉妬した

/ Girona , Spain

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log [ コラム ] — s_o @ 09. 11月, 2004

限りがあるのなら、
その限りだけ生きてたい思った。

毛穴から変な影がニョキニョキ生えてきて、
『ほらね』 みたいなことを言う。

もしどっかになんかあるのなら
イマここにある歌のことなんか
知らなければよかったのかもしれない。

この歌が存在する世界は
いつか残らずなくなるけれど、
その声は あざとくしなやかに あって
影みたいに匂いも形も感傷もなく、
明後日なのか100年前なのかわからないような響きで
脳みそのなかに傷を残す。

バスルームで斜めになって、
世界に身を任せてみる。

しょうじき、こまる。

/ brussels : foton records residency , belgium

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log [ コラム ] — s_o @ 03. 11月, 2004

ふとした、
本当に意味の分からない瞬間に
自分が生きてるコトを思い出す。

それは感動とか なにか感傷的で印象的なものでなくて
とてもゲロの匂いがする。

すぐつまる細い水道管が
遠くの方でバポバポ音を立てて、
やっぱり人は生きている。

これ以上は ないのだ、じみた言い訳は
もうやめようと思った。

ボッコンボッコン荷物や体をホかして、
なんとなく肌寒くて、
ニヤニヤ笑う。

感情とか地平線みたいな、いわゆる『夢』や『現実』とはわけが違う。

ピアノの倍音とか、ネズミとりにシッポだけかかったネズミとか
そういういわゆる しょうもなくてきれいなものに似てる。

指一本で鍵盤を叩くと、
とても容易にそれを知る事ができる。

心が

ランドリーで廻る前のジーパンみたくきれいに裏返って、
よく見るとそれは
唐突に腐った匂いと
多分どうにもならない切実さを孕んで、
ビクビクへらへらした。

/ brussels , belgium

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photo : © 2005 YooNeun all rights reserved.

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