サモトア

log [ コラム ] — s_o @ 30. 12月, 2004

ジャイアント馬場くらいあるモミの樹が捨ててあった。

横倒しになってることと路地の脇であること、
中途半端に巻かれた見窄らしいビニールがなければ
それが捨ててあるんやとは知覚できんかった。

しかも、横に家なしのおっさんが寝てた。

息はもはや、白くなるゆうか氷粒になるこの寒空の下。

ナイスガッツ。

モミの樹とおっさんのあいだで
セルフタイマー撮って年賀状にしよか思ったけど
年始から景気良くテンションさがりそうなので、よした。

夜が明け、おっさんはいなかった。

かわりに、雪だるまが置いてあった。

雪の玉、3段。
昆虫?

雪だるまは
2004年もっかい始めからやりなおしたくなるくらい情けない顔をしていた。

今くるよ が突っこまれた時の顔にそっくりやった。

制作者らしき ちっこい彫刻家は
プラスチックな黄色いシャベルの柄部分のグリップ具合が
気になって仕方ないらしく、それどこやなかった。

ちょ、、せめて眉尻もうちょい上げてくれへんかな、、。

顔につられて果てしなく下がったモチベーションに
鼻も凍る師走の曇り空が共鳴。

スタジオで轟音ミックス中、ウトウトすると夢を見た。

雪だるまの頭が、微妙にずれる夢だった。

はっと目覚めると、やな汗べったりかいていた。

どこに緊張したんや。

晩、家に戻るとおっさんはおらんかったけど
モミの樹はまだあった。

もしかしておっさんはモミの樹の精だったのか。

8回殴られたロバートワイアットみたいな顔しとったけど。
ビールの空き瓶 もっそ置いてあったけど。

ワがを言いくるめて明日は大晦日。
 
 
ハッピーエンドフォーハッピー。

シリぬ

log [ コラム ] — s_o @ 25. 12月, 2004

うわ、、、ゆうくらい散歩いやそうな犬を見た。

散歩してなかった。

うなだれてた。

『さむい』『首輪きつい』 程度のあれやない。

『わたしはなぜここにいてあそこにはいないのか』 級だった。

おまえはパスカルか。

フォルマリズム、構造主義に風穴をあけるアンニュイな犬。

ほっといたら、やけ酒して吐いてそうだった。

否、そんな気力なし。

果てしなく長いため息で鼻のしめり気がとれる。

尻のとこだけ毛が白くて、それは人(犬)生に白旗ふうやった。

遺伝子レベルで かなぐり捨てた情熱と絶望。

犬、そこうんこするとこちゃう。いきんだあかん。

あ。
 
 
  
この不況でもきっと変わらないあなたへ

靴下には家賃をいれといてください。
 
 
ツリーてっぺんに、白旗。

ホワイトクリスマス。
 
 
0096dog.jpg

* 本文と写真は関係ありません。

てか君も、家とちゃう。そこ。

000

log [ コラム ] — s_o @ 22. 12月, 2004

001rhein.jpg

眠たそうですね。
いきつけのぼったくりカヘで、
歳のわからん店員が言った。

半分 あきらめてるんやない。
半分 あきらめてない。

いつかみた、両手で耳を塞ぐ子供。
耳は、目と違って塞ぐことができないとか言う。
耳は塞ぐことができないのではなくて、
自分の意志でその手をどかすことができるのだ。

それが中途半端でも、世界を拒むことはできる。
せめて次の街までは ゆうて
半開いた虚ろに曇る目で、コミットすることだってできる。

眠い。

ゲルトレ

log [ コラム ] — s_o @ 15. 12月, 2004

終電が、大変なことになっていた。

まず目の前にいた黒人女性2人組が話しかけてきた。

話しかけてきたほうは、ブロンズの混じるドレッドで
1本だけある金の前歯が、あらぬ方向を向いていた。

話しかけてくると同時に
甲高い声でカントリーロードを歌い始めた。

立派な男はきっとこういう時、粋なリアクションをとるのだろう。

なんやろう。やっぱり手拍子やろか。

無理。

急なことなので脳みそのウィット担当部署まで接続できない。

そもそもそんな部位あったかどうか定かでない。

とりあえず心に草刈正雄を描いて、
鼻からあさっての方角へ息を抜くような感じで
「ふっ」とため息を漏らす。

頼むぞ、正雄。

そしたら女は、『ねえ、あなたここに住んでるの?あなたのうちに行きたいんだけど。』

正雄! いかんともしがたいことになってるぞ正雄!

まだ電車にのって2駅と停まっていない。
そして女は朝方の新宿の路肩くらい酒くさい。

こんな時、立派な男はどう断るんだろう。
さっきのこともあるし、草刈正雄は置いておこう。
岡田真澄? 話が複雑な方向へ展開しそうだ。

金歯を前に、人選にオタオタしてると、
次の駅で山ほどおっさんが乗ってきた。

そして、終電が酔っぱらいで埋め尽くされた。

壮絶な光景だった。

たかだか8メートルかそこいらの車輛だが、
酔っぱらいで埋め尽くされたそれは喩えるなら、
看守がいない凶悪監獄の自由見学だった。

まず、目の前の黒人女2人は共鳴する。
1オクターブくらい笑い声のピッチがあがった。
ゴスペルかと思った。

隣に座ったおやじは、車輛の一番向こうに座ったおやじに、
“kleine Pause !! Alles klar!! Gahahahahaha” 
(意訳 : 元気があれば家も建つ)
と叫んでいた。

丸大ハンバーグの巨人みたいな、太くてよく通る声だった。

駅にいたセキュリティーは、やれやれまただよ、と
乳飲みごの寝顔を見守る両親みたいにあたたかい笑顔でこれを放置。

いや、助けてくれ。ください。

ほうほうのていで電車を降りると、
閑散としたいつもの駅のいつものホーム。

アルバム制作がスケジュールどおり進まなくて
苛立ったり煮詰まったりしていたのが、
いつの話だったか忘れそうになった。

15分前や。

ちょっと終電に感謝した。
うそ。しない。

フユウち

log [ コラム ] — s_o @ 12. 12月, 2004

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ドイツで、しかも真冬なのに、ずんずん散歩するタフさにうっとりして
夜明けまでそこいらを歩き回っていると、鼻血が止まらなくなった。

リラックスしすぎ。

電話で何時間も錯乱した男の相手をすると変な匂いのする郷愁。

だからって散歩に理由をつけるのは、きっと愚かなことだ。

朝っぱらからやってるカフェに入って、
いちびって慣れないエスプレッソを頼む。

安いし。

型どおりにえずく。

気持ち悪くてげっそりしていると、
店でかかっていたJBの音に合わせて、
朝っぱらなのに少女が踊る。

挙動不審な日本人をちら見して。
彼女は今日も世界中をその小さな手のひらに収める。

『ママ!』

彼女の視線の先にいた優雅な女性は、
やっぱりエスプレッソのカップ。

エスプレッソの苦い煙と
鼻血の冷たい匂いは似てる。

「これでいいのよ」っていう真摯な切実さが。

ぁぁ、どうでもいいけど はなぢがとまらない。
ホラーや、ホラー。

少女の腰つきは悩ましく、
絵づらを総括すると、わしゃただの変態や。

yoom

log [ コラム ] — s_o @ 09. 12月, 2004

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余計な考えやスサんだ心が、
鼻水と一緒に流れておちる
ドイツの冬が大好きだ。

地下鉄の階段から、
クリスマスの装飾が施された街路樹を見上げる。

鼻水たれるから。

おもわずキラキラと美しくて
口をポカーン開けて見入ってると、
犬の糞を踏んだ。

あまつさえ当事者たる犬に逆ギレされ、吠えられた。

なんでじゃ。あやまんのはおまえのほうじゃ。

犬のウンポを石畳に擦りつけながら
不自然な感じで歩いていると、
サンタクロースに20セントか煙草一本くれって言われた。

おまえは、あげるほうじゃ。

一昨日まで、レジデンスでコラボレートした韓国アーティスト
yooneunとmilkpackが家に泊まっていたので
今年の冬はいつになく外を歩き回った。彼らと一緒に。

なにかが焦げる匂いがした。

クリスマスマーケットで、なんかミスったのかもしれない。

別にミスってないのかもしれない。

焦げる前には戻る事のできない匂いだった。
 
 
ようやっと、ドイツの冬が好きだった。

(c) 2019 sub-tle.