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大晦日。
これから日本に飛びます。
自分が在る場所で2005年を越えるタイミングは、永遠にうやむやに。
ロシアのだいぶん右。モンゴルの左。もうちょっと右。
(足が壊死して悪夢に悶えながら)
これを見ているあなたに
とても個人的にありがとう。
心から。

大晦日。
これから日本に飛びます。
自分が在る場所で2005年を越えるタイミングは、永遠にうやむやに。
ロシアのだいぶん右。モンゴルの左。もうちょっと右。
(足が壊死して悪夢に悶えながら)
これを見ているあなたに
とても個人的にありがとう。
心から。
12月24日−25日
唐揚げを盗み食いし煙突に詰まって火だるまになりかけたサンタと。
12月26日

ポルトガル・リスボン出張。
12月なのに太陽。
自我のだいぶん根元の方からドイツおることを後悔。

用意されたホテルはやたらと豪勢な五つ星。
愛想のいいベルボーイやオーシャンビューのでかい窓。
ソファに腰掛け、無理矢理くつろぎリンゴを齧る。
超落ち着かない。

12月28日

『踊りましょうよ。』
リスボンのホテルにあるバーでスペインのプレスとカイペリーニャを飲んでると
品のいいおばあちゃんが微笑みながら声をかけてきた。
満場一致で、一緒に飲んでいた全員同時にこちらをガン見。
社内会議で決議の時にいきなり謀られたことを知る会長派閥の専務調。
『それが君のいいとこや。』
それが何を示唆しているのかすらわからない身に覚えなき長所を満顔の笑みで取り沙汰され、
生ピアノの演奏にあわせて淑女と踊る。
やっかいな腰つきでC3POみたいな動きをしていると
取調室における刑事と見まがうばかりの獰猛かつ理不尽な景気良さで
元気よくレディの足を踏んづける。
「ごめんなさい」
『いいのよ。』
彼女はにっこり笑うと
踊れない自分に気を遣い、手を握ったままそれとなく暫く話を続けた。
スイスから来たという彼女は最後にぎゅっと強くこちらの手を握り
あなたに会えてよかった と言った。
ふと向こう側で、クルーがこちらに向かってグルングルン腕を廻して
カメラをまわし続けていることに気がついて目を疑う。
彼女はカウンターに戻り、初老の男と再び踊り始めた。
さっきと同じ曲だった。
男の頭は禿げ上がり、腹はしっかり出ていたけれど
いたずら好きのエンジェルのような圧巻の腰つきだった。
ダンスくらい練習しよ、思って
カイペリーニャのライムみたいなレモンを齧ると
酸っぱすぎて何を思いついたのか一瞬で忘れた。
12月29日

ドイツ帰国。
いきなり零下。
ポルトガルとの温度差15℃。
やっぱり根源的かつ具体的に後悔する。

12月30日

洗濯をしようと吹雪のなか自転車に乗る。
5回スリップ。
前から吹き付ける吹雪と完全に拮抗して、ヘリコプターみたいにホバリングしながら
修行僧のように顔をうつむけたまま前進を試みていると、
道端に捨ててあったクリスマスツリーで華やかに大転倒。頭を下にして飛ぶ。
雪の中散らばったシャツやらジーンズやらに、軽くセルフ脳シントウを起こす。
あまりに杜撰な光景に気を失いかけて、それでも大人の男子たれ、と煙草に火をつけると
オイル入れすぎたジッポがスムーズ且つありえない方向へ引火。
陽気なマッチ売りの少女が如きワイルドな炎に、心あたたまる。
前髪が燃える。
かさねて運良く零下に凍てついたジッポで軽く凍傷。
ややこしく痛めつけられた体躯に、熱さと冷たさの相殺を願う。
ジーパンが雪まみれで凍りかけてたので、最高温度でドラムを回すと
パンツが二回りくらい大きくなって返ってくる。
ラッキー。(前髪効果で、気分はアニー。)
複雑なテンションのまま隣のおっさんちのドアを必要以上に叩き、年末の取り立て。
金返せよ 言うと、いつものように”なぜおれは金を借りたのか”物語が始まる。
金を出し、『あーなんだっけ。あれだ。えー』
「よいお年を。」
『あ、それだ。おぅ。』
「来年はもう貸さへんで。」
『いや、それが今回のはさ、20日に口座が、、、』
おっさんを無視して、返してもらった金でアパートメントの隣にあるドイツ酒場に晩飯を食いに行く。
夜中なのであたたかいのはできないけど、と言われ
おばちゃんが『おいしいわよ』と勧めたフリカデレ(ハンバーグみたいな固まり)とジャガイモのサラダをオーダーする。
おばちゃんが太鼓判を押すだけあって、味は(以下省略)
アルトビアに飽きて、ジョニーウォーカーを一人でバカスカ飲んでいると
だんだんホントにおいしいような気になってきた。
気がつくと、マンガ日本昔話的にこんもり盛られた皿をきれいにたいらげていた。
おばちゃんに「激ウマ」と言うと、
めちゃくちゃ得意げな顔をされた。
向こうのテーブルでおっさんが大声でおかわりを叫び、
そばにあったロウソクが静かに揺れた。
横殴りの風雪も、いつのまにか静かに街の音を消し始める。
雪が降ると、なんでこんなに静かになるんやろうとか考えながら歩いてると、
本日6回目のスリップ。
変な受け身をしたので、2006年に繰り越す判断保留な痛みをゲット。

そんなふうにして唐突に北と南の陸が融けたので、
大事な人はみな死んでしまったのです。
僕はといえば月曜の朝から、おねだり博物館・蝋人形コーナーにいたので
象られたマイケルジャクソンの具体的な肌触りを頼りにそこに生き残ったのでした。
マイケルジャクソン以外みんなクズだった事実を改めて確信した次第です。
僕はとっさに、死に損なった重要で価値のあるヒトビトをひとり残らず殺しておかねばと思いたったのですが
テンション高すぎて、全くもって元気印なので止しました。
そんなのマイケルジャクソンみたくてやだったのです。
マイケルはそんな印じゃねえ。取り消せ。ぽぅ。
同じように謂われなく生き残った、絶望的におっぱいが大きくてあまりアタマの良くなさそうな女の子とセックスをして
いてもいなくてもいい子供はおそろしくアバウトに、あってもなくてもいい世界に生まれました。
いてもいなくてもいい子供はやがて、大事な人がいなくなった星の生きていてもしょうがない人々の王になったのです。
生きていてもしょうがない人々は、いてもいなくてもいい子供のことを
そうなのかそうでないのかわからないくらい杜撰で正確に愛していました。
彼らの最低か最上かよくわからない敬意は、王様たるいてもいなくてもいい子供を『マダムキラー』と呼ばしめました。
いてもいなくてもいい子供たる王様のマダムキラーは、
或る日父から習ったスリラーを うろ覚えだったので紛擾オリジナル替え歌で歌っていたのですが、
その詞はあまりにも下品だったので、お笑い芸人や生きていてもしょうがない人々の嫉妬を買い糾弾されて
遽かに死刑を言い渡されました。
広いのか広くないのかわからない広場に設けられた死刑台で口腔にネコを突っ込まれて
いてもいなくてもいい王様と口の中のネコは概ね似たようなテンションで
嗚咽みたいに 恐縮で幸福そうな無音の悲鳴をあげました。
口の中のネコの飼い主は あってもなくてもいい町のいてもいなくてもいい地主で、5日目の便秘にひどく不機嫌でした。
口の中のネコはそんなこと知る由もないですし、飼い主のことはあんまりどうでもよかったので
地主が、広いのか広くないのかわからない広場にいるのかいないのか確かめもしませんでした。
ただ口の中はまあまあ狭いのでやにわにイライラしていました。
広いのか広くないのかわからない広場に集まった、生きていてもしょうがない人々は口々に何か呟いていました。
それが罵りなのか煽りなのか嬌声なのか、いてもいなくてもいい王様は頭もあるのかないのかわからない感じだったので、
よくわかりませんでした。
それはなにかメロディのようにも聴こえたのです。
『おいおい なんてこった スリラーよりてんでいい歌じゃん ROCK』
いてもいなくてもいい王様が ちぇ と舌打ちをしたので
いてもいなくてもいい王様の舌は 口にはさまっていたネコのよんどころなき急所を急襲しました。
口の中のネコはムかついて、ジュラ紀と白亜紀と八代亜紀を足したくらい長い欠伸をしました。
大きく開いたネコの口の向こう、生きていてもしょうがない人々のうえで、何かがキラリと燥ぎました。
生きていてもしょうがないヒトビトとあってもしょうがないその世界に音もなくさんざめいたのは、雪でした。
そのとき、地面に対して直角に広がったネコの口径の中心、つまりのどちんこんトコに一粒 雪の結晶が着床して
ネコは再び すごくムかつきました。
うっかりもう欠伸はできなかったので、
口の中のネコはカラマーゾフの兄弟に出てくる三男の友達の神学生のラキーチンみたくやけに世間擦れした溜め息をつきました。
そして、口を大きく開いてることを忘れて ちぇ と言いました。
雪の降る あってもなくてもいい世界の広いのか広くないのかわからない広場に
白い溜め息が咲き続けました。
やがて溜め息は、融けてしまった北と南の陸と一緒に雲になって
あってもなくてもいい世界の生きていてもしょうがない人々の上に
いてもいなくてもいい子供たる王様のマダムキラーの上に
また雪を降らせるのでした。
ないがしろにされた句読点のように素晴らしい歌が、
カラダから意味なくこぼれ落ちた王様の頭、耳たぶの向こう側でリフレインを始めました。
一緒にこぼれ落ちたネコの口は、まるで欠伸をしてるみたいでした。
『誰もが思ってからでないと動けないのですよ』
生きていてもしょうがない誰かがそう呟くと、
彼は今年のベスト・ジーニスト賞に選ばれました。
残念ながら今年の一言に選出されなかったのは、審査員長たる地主の便秘のせいでした。
生きていてもしょうがない人々は、いてもいなくてもいい王の死を悼みました。
あってもなくてもいい世界の、あるのかないのかわからない声は
いつかこの世界に重要で本当に大切なものが顕現してしまう日を憂えて
いつまでもそこにあるふりをしたのでした。

茶色のコートを着た長身の女の子が うずくまった。
歩きながら煙草巻くのに気ぃとられてたので
元気満タンでウマ跳び失敗する小学生よろしく
つんのめり覆いかぶさってスッコロびかける。
「大丈夫?」
おおよそ大丈夫じゃない人間に
“あなた大丈夫じゃないよね” を言い渡す殺人フレーズでご機嫌をうかがってみる。
知り得ぬナニかのことを考えるのはきっと大切なことだけれど
だからって
「がんばろうよ! 世界はほら! こんなに美しい!
おもしろき!こともなき世をおもしろく! シンサク=タカスギ! さあ!」
とか幸(さち)薄そうなモヤしっ子にいきなり励まされたら、それはそれでイライラする。
返事がない。
「なんか、あれ。 あれ呼ぼか?(救急車、ドイツ語でなんて言うんか思いつかんかった)」
『ううん、いいの。』
こっちを見た彼女の顔に、違和感。
なんか泣いてるみたいだった。
ぅぇ、しまった。思って煙草を巻き終わる。
「煙草吸う?」
『いいわ。ありがと。大丈夫』
大丈夫って言わなきゃいけない人生なんて、ごめんだ。
煙草の灰は知らぬまに煙草の長さになっていて
地面に落ちる前にクツのサキにあたって くだけた。
馬鹿みたく足を踏み鳴らして歩いてたので、
低くナガれる初冬の風と相まって
影にもならなかった。

ハロウィン。
ジャーマンだけどメタルじゃないほう。
年端もいかぬ 愛くるしい少年少女たちに急襲され
『お菓子くれよブッ殺すぞこのやろう。』
おまえtreatなしのtreakオンリーだこのジャップ。とか声高らかに罵られたあげく
玄関にやたら中心のズレた日の丸でもラクガキされんのかとワクワク構えてはみるものの
毎年目にするのは
” 普段からそういうあれなんだろう ” くらい自然きわまりないジェイソンマスクのおっさんとか、
テンション高めな血ノリまみれなのに異常にサめきったおばはんとかだけだ。
あれか。血ぃ出過ぎて元気なくなっちゃった、ゆう演出なんか。
舞台裏のリアリティ追求はええから、その血まみれの足跡ふけ。
犬の糞より微妙に迷惑な、寒空の下の血痕。
![]()
考え事をしながらフラフラ歩いていると、
街灯にくくりつけられた首のないモンクにぶつかった。
やにわに苛立って、モンクが手に持っていた首に煙草の吸い殻をのっけると
ちょっとスサンダいい感じになって、より苛立った。
しかも手、あった。
![]()
見た瞬間、理解 終えてしまう外国の”驚き”。
外国であることで驚きが驚きにもならないまま受信しきる。
目を凝らさんと
目を凝らしてさえ
もひとつわからん程度のところにしかホントの驚きってなくて
だからってわけでもないけど脳みそはその異常な軽さをもってなお揺らがない。
無碍(むげ)にしてきたもの全てにマッタリ報復されてるのか、
あるいは質量が軽すぎて揺らいだことにさえ気づかないのか。
かぼちゃの目の中のロウソクがゆらいで
それはまるで なにかの喩(たと)えみたいだった。
うそ。
いま屁ーこいた。

イキも凍る朝、イキなのか煙草の煙なのかわからない曖昧な白を目で追った。
凡常と惰性に溢れた或る朝の1パートにて
バチちバチんゆう乾いた羽音と間の抜けた真摯さが交錯するので
頭上を見上げると たゆたってた煙ガ唐突に目にしみる。
ぶしゅ というわけのわからない言葉を口から漏らして目をつぶる。
揶揄なのか比喩なのかようわからん表現がある。
バカと煙は高いとこ ™
街灯を覆う円錐形の傘のてっぺんで、
ミツバチがひたすら頂上一点を目指していた。
ガツンガツンと自由を求める体当たりには、安堵と共に迎える終止なんてあるべくもなく。
疲れてちょっと高度がおちれば、たちまち眼前には360°選びようもない自由を得られることを彼は知らない。
いつかハネが破れ なにもかも終わるとき、
一体じぶんを遮っていた壁がなんだったのかわからなくなるような茫漠な大地で彼は永遠になる。
そっちには蜜ないゆうたやんけ。
いやゆうてないか。
なんも知らんのんは、キミだけちがうか。
慣用句を覚えるのと辞書を引くのが好きな、恐ろしくヤなガキだったので
(でも九九はいつまでも覚えられなくて、7×6と6×7は今もってあやしい。)
目から入る情報がいちいち先人のマーフィートリックにひっかかる。
個人やワがの感情、己というものはそのたびに霞がかって影になる。
ワラベウタが決して個人によって作られることがないように、
歴史はいつも、顔のない”集まり”ゆう怪物によって彩色される。
ときにはコントロールできない(と思い込む)ほどの個の熱情でさえ。
昨年の冬、ベルギー・スペインツアーの流れで韓国アーティスト二人がウチに遊びに来ていたとき、
韓国のことわざと日本のそれを照らし合わせて、そのほとんどが被っていることに徹夜ではしゃいだ。
見覚えのない、耳なじみのないのんに至っても、
あー、ていう慣用句独特の毒にも薬にもならん感はおんなじ。
トラは皮を残す ヒトは名を残す
名前のない顔がつむぐのは、
時間のふりをした孤独と、脆弱でだだっぴろい思い。
大学のときドイツ文学を専攻していた。
ヒトにいうのが、毎度恥ずかしい。(でも話題ない。ドイツ人なんかと。)
道に迷った老婆に然るべき引導も渡せず、倒錯した言葉の羅列で路頭に迷わせるのは既にお家芸。
トマスマンの原文、最初の1行の3つめの言葉を辞書でひいたとき、8個くらいあちこちを向いた意味があって
ジャガイモとビールとカントリーとお城とお姫様的女の子で歳をとってない自分は、2秒であきらめた。
10も歳の違うこちらで育った女の子と、カフカの話をしていたとき
教科書で読んだことあるんだけど、と彼女は言った。
『ご飯食べるとき、”いただきます”って言うでしょ。あれドイツにはない。そういうとこ。』
言葉には目もくれずミツバチは、鉄でできた幸福な死を蔑んでいるのかもしれない。
ほんとうに大事なのは勝ち負けじゃないんだよ、とかいうのが苦手なのかもしれない。
ちょっと。
おれも、高いとこ超すきー。
(吊り橋の真ん中で足ガクガクさして両側の手すりをむんずとワシづかみ、うわずる声で)

たとえば立ち入り監査の入ったレストラン裏手の厨房の窓から
待てっ!オレが先や、どけ!ゆうて豪快にモめながらイラン人らと共に飛び出し、
死ぬ気で走ったりするのはとても憧れるけれど。
憧れるけれどなんとなくビザ更新が迫ってきたので書類仕事。
久々に見たパスポート。
ひでぇ写真だなーゲラゲラと眺めていると、
10年パスはあと4ヶ月でうっかり失効。
仕事、ふえる。
アーティストビザゆう箸にも棒にもかからないカテゴリーの滞在許可は
役所や公とのアットホームでリッチな交流からはホド遠い。
保険会社で、ままならないドイツ語で自分アピールする様、まま誰かに見せたくない。
火事になったら皆、白ブリーフにうんこついてても国道に出て踊るでしょう。
(誰に言ってるんだ。そして踊らねえ。)
「あの、、、僕、、、、すごいんだヨーーーぅ。
○○で××の活動してるでした。これベルギーの新聞だよぅ。すごいねぇ。
これ、州立げきじょぅぅの推薦状とプレス関係の書類なんだーよぅございます。
あるいはフィナンシャルプランは、ここからここである。
すきな食べ物は腐る前のミカンでござルね。
(以下略)」
うん。断る。
4件目の保険会社で、担当者とアポとってようやく契約とか保障内容まで話が進む。
なんでこちらを信用したんか、もっそ謎。
しかも公の機関なのに「芸術家」じゃなくて「音楽家」で処理してくれた。
ダンケフラウシッケ。