Daueraufenthalt

外人局で、大げんか。

14年目にして2年越しで揃えた書類が、
新しくなった部署に全く引き継がれていなかった。

 

『で、なに?』

 

新担当者 (ハルクホーガン似) は吐き捨てる。

 

『なにをそんなにキレてんだ、
もう出したんなら、もっかい出せるだろ。』

 

ぽーんと投げ返される、最終ドキュメント。

 

、、いや、もう何回やったんだよそのやりとり、、。

 

いいよ、どうせまたそんなん言う思て、
今日10年分の書類持って来たよ。
みろよこの山。

 

息巻くもやしっ子に、ため息まじりの捨て台詞。

 

『だめだな。おまえ、なんで永住権とれないかとか考えたことあんのか?』

 

、、、。

 

みんなが持ってるゲルマンごころにポッと灯る、なまぬるい炎。
耳の奥で小さなおじさんが、はい!いま!ここよ!と元気に旗を振る。

 

ダンッ

 

「おまえらがくれへんからじゃーーーーっっっ!!!!!!」

 

ダンッてやったときに、膝をしこたまテーブルに打ちつける。

崩れ落ちる10年分の書類。

 

ぐぐぐ、、。

 

いたい、、、。

 

うずくまりながら書類を拾う。

2年前に出した書類が目に付く。

 

「これ、見てくれよ。全部じゃないのかよこれでも。これとかこれとかよ。ちゃんと見てんのかよ。」

 

『あぁ、、、』

 

なんか突然しおらしくなるハルクホーガン。

 

『じゃあおまえxxxxの5年分の証明は、、』

 

「でた!でたよ!ここに10年分あるってだから!ほら!これも!」

 

『税金と所得の、、、』

 

「だからこれ!はい!!10年分!!」

 

『あ、税金はもういいんだった。』

 

「なんだよ!」

 

カタカタ、と突然静かになった部屋に響く、かわいたタイプ音。

 

ハルクが顔を上げる。

 

うまれてこのかたやったことなかったけど、
今唐突に思いついてやってみたらできちゃった、くらいの微妙な笑顔。

 

『ようこそ、ドイツへ。』

 

、、うるせーよ、、。

 

永住権、14年目で遂にゲット。

みみずもかえるもありがとう(白目)